ヒルトン東京 東京都新宿区西新宿6-6-2
出版社Wileyは、毎年開催し好評をいただいてきたWileyリサーチセミナーを、3年ぶりに対面方式で開催することにいたしました。
研究・出版に関わる大きな潮流が、オープンアクセス/オープンリサーチです。その中でも、ここ数年で特に注目される動きは、大学・研究機関からのオープンアクセス出版を飛躍的に増大させる出版購読モデル『転換契約』の世界的な普及です。欧州に端を発した転換契約は、最近になって米国やアジア太平洋地域にも急速に広がり、今年4月には日本の4大学とWileyによる転換契約が始まりました。このような変化は、購読機関、研究者コミュニティ、研究助成機関、出版社といった関係者間の協調が学術情報流通において新たな可能性を生むことを示しています。
今回のテーマは「オープンリサーチの今とこれから」となり、講演者のプレゼンテーションを交えながら、研究コミュニティが出版プログラムにおいて直面している重要な問題、課題、可能性を探ります。英語でのセッションには、日本語への同時通訳がつきます。
参加のメリット:
- 国内外の専門家から、大きな転換期を迎えた学術出版における最新の展開を学べます
‐ 他の参加者と交流を持ち、意見交換できます
対象者:
- 学協会で会長・理事など指導的な役割を務める方
- 学協会誌の編集に携わる方
- 大学・研究機関の研究推進・支援・図書館といった部門で、オープンアクセス/オープンリサーチ方針の策定と運用に関わる方
そのほか、大学教員・図書館員といった、研究と出版の動向に関心をお持ちの方々にもご参加をおすすめします。
Peter D'Onghia Wiley APAC ディレクター、パートナーパブリッシング
Ralf Schimmer, 副図書館長・情報部門責任者, Max Planck Digital Library, Munich, Germany
出版社との交渉に転換契約(Transformative Agreement: TA)は、「オープンアクセス2020イニシアティブ」(Open Access2020 Initiative)で結ばれた研究機関の世界的な主要戦略である。また、転換契約は、2003年の「ベルリン宣言:科学と人文学における知識へのオープンアクセス」(Berlin Declaration on Open Access to Knowledge in the Sciences and Humanities)で想定された、近年、多大な影響力があり、世界で拡張している、研究論文出版のオープンアクセス化の戦略となっている。ヨーロッパで最初に取り入れられた転換契約の波は、現在ではアジア、アフリカ、南北アメリカ、オーストラリアの図書館に及んでいる。現在までに67カ国の機関が転換契約を通じて、50万本以上の新しい研究論文がオープンに出版し、転換契約が世界的な研究結果へのアクセスを向上させていることに疑いの余地はないだろう。しかし、オープンアクセスを可能にするだけでなく、転換契約の継続的な進化と成長は、購読ベースのシステムの組織的・財政的現状からの脱却を促している。転換契約の枠組みを通じて、研究機関、図書館、出版社は、ワークフローと財務構造(ビジネスモデル)を適応させながら移行を進め、最終的には、学術コミュニケーションにおける完全にオープンで真のデジタルパラダイムに向かって前進させるだろう。
Negotiating transformative agreements (TAs) with subscription publishers are a key strategy of the global network of research performing organizations united in the Open Access2020 Initiative and have become today’s most impactful and scalable strategy for enabling open access to research, as envisioned in the original Berlin Declaration on Open Access to Knowledge in the Sciences and Humanities of 2003. First adopted in Europe, the wave of TAs has now reached libraries in Asia, Africa, the Americas and Australia. With more than half a million new research articles published openly through TAs negotiated by institutions in 67 countries to date, there can be no doubt that TAs increase global access to research. Yet beyond enabling open access, the continued evolution and growth of TAs is prompting a long awaited departure from the organizational and financial status quo of the subscription-based system. Through the framework of TAs, research institutions, their libraries and publishers are working through the transition, adapting their workflows and financial structures (business models)and, finally, advancing toward a fully open and truly digital paradigm in scholarly communication.
小泉 周, 研究力強化推進本部 特任教授, 自然科学研究機構
日本発の研究成果のオープンアクセス化については、特にハイブリッド誌のゴールドOAは停滞している。とくに研究費の少ない若手研究者など、研究成果のOA化ができず、世界から「見えない」状態になることを危惧する。転換契約は、研究力強化の一環で、日本の研究成果の世界からの「見える化」をすすめる一つの手段となると期待される。日本のOA化の現状と課題を整理し、今後を展望したい。
Catriona MacCallum, オープンサイエンス担当ディレクター, Hindawi Limited
学術論文のオープンアクセスは当たり前になりつつあり、Wileyなどの出版社は、オープンアクセスは出版社の使命であり、世界中の研究者に提供するべき中核的なサービスである、と考え始めている。しかし、オープンアクセスは、オープンサイエンスに向けた基本的で、最初の一歩に過ぎない。オープンサイエンスの目的は、1)より広範な研究成果へ、より早い段階でのアクセス、再利用、発見(データやプレプリントなど)を可能にし、2)研究者間のより大きな(そしてよりオープンな)協力関係を生み出し、3)世界中の研究者が地域および世界の知識の創造と発見の両方に平等な貢献できる、より公平で信頼できるシステムを構築することである。 研究者、助成機関、機関、出版社(学協会を含む)のすべてが、このシステムの構築を支援する役割を担っている。その核となるのは、研究者への報奨や評価基準を変え(DORAなど)、相反するようなインセンティブ制度を止めることが必要である。また、地域や学術分野の違いに配慮しながら、世界規模で実施できるシステム構築が必要である。講演では、このようなシステムのサービス提供者としての出版社の役割に特に焦点を当てる。このシステムは、最終的に研究者、科学、そして最も重要な社会のニーズに応えるものでなくてはならない。
Open Access to scholarly articles is becoming the norm, and publishers like Wiley and others increasingly see OA as part of their mission and a core service that should be provided for researchers all over the world. And yet Open Access is just the first, albeit fundamental, step towards Open Science. The aims of Open Science include 1) enabling access, reuse, and discovery of a wider range of research outputs and at an earlier stage of their creation (such as data and preprints), 2) engendering greater – and more open - collaboration among researchers and 3) building a more equitable and trustworthy system by which researchers from all over the world can equally contribute to both the creation and discovery of regional and global knowledge. Researchers, funders, institutions, and publishers (including scholarly societies) all have a role in helping to build this system. At its core, we need to change the reward and evaluation criteria of researchers (such as through DORA) and stop an incentive system that pits one actor against another. We also need to build a system that can scale and be implemented globally while being sensitive to regional and disciplinary differences. In my talk, I will specifically focus on the role of publishers as service providers for such a system – a system that ultimately must serve the needs of researchers, science and, most importantly, society.
Guido Herrmann, パートナーソリューション部門シニアバイスプレジデント, Wiley, Sven Fund, シニアディレクター, ディビジョンリーダー, Wiley, Alberto Pepe, ディレクター, ストラテジー・イノベーション, Wiley, Alice Wood オープンアクセスビジネスディベロップメント・アソシエイトディレクター, Wiley
このセッションでは、ワイリーパートナーソリューションズ部門のGuido F. Herrmannと、Alberto Pepe、Sven Fundが、テクノロジーとワークフローソリューションを通じて、より効果的にオープンサイエンスへの移行をサポートする方法について議論する。論文ベースでの経済がますます進む中、有効化に向けたサービスはこれからますます不可欠となるだろう。
In this session Dr. Guido F. Herrmann from Wiley Partner Solutions and his colleagues Alberto Pepe and Sven Fund discuss how we can support a more effective transition to Open Science through technology and workflow solutions. As we move into an increasingly article-based economy, enablement services become more and more vital for success.
Liz Ferguson, 研究出版部門シニアバイスプレジデント, Wiley
このセッションでは、急速に進化するオープンアクセスの状況にWileyがどのように対応しているか、また、活気あるオープンアクセスの未来に向け、ジャーナルを備えるために学協会や編集者が何をすべきかを議論する。
This session discusses how Wiley is responding to the rapidly evolving open access landscape and what societies and editors can do to prepare their journals for a vibrant open access future.
新井 克久 Wiley Publishing Japan 代表取締役
セミナー終了後にささやかな会食をご用意しております。講師、参加者の皆様との交流にお役立てください。
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