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Monday, October 26, 2026

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議論から実践へ:リサーチ・アドミニストレーターが日本のオープンアクセスの未来を担う理由

2026年9月28日・29日、横浜国立大学にて、リサーチ・アドミニストレーション協議会 (RA協議会) 第12回年次大会が開催されました。今年のテーマは『開港の地から拓く、研究開発マネジメントと『科学の再興』- 研究力強化の新局面におけるURAの役割 -』です。全国から研究マネジメントの専門家が集まり、研究支援がいかにイノベーションと科学的卓越性を推進できるかを探りました。

今回は、主催者が想定していた800~900名を大きく上回り、過去最多となる1,000名以上が参加しました。大学幹部、リサーチ・アドミニストレーター、政府関係者、研究機関、企業、海外の研究マネジメント担当者が一堂に会しました。

日本のオープンアクセス(OA)は、「議論のフェーズ」から「実践のフェーズ」へと移行しました。もはや問われているのは、各機関にOA戦略が必要かどうかではなく、コンプライアンスへの対応をいかに管理し、研究者を支援し、研究成果の可視性とインパクトを高めるか、という点です。こうした中で、大学のリサーチ・アドミニストレーター (URA) は、事務的な業務にとどまらず、戦略的支援や機関の組織的能力の強化へと役割を広げています。私たちは、図書館のパートナーの皆様とともに、URAの皆様と連携し、リサーチ・インテリジェンスと研究成果の強化に取り組みたいと考えています。

Wileyのブースでは、次のようなテーマを中心に多くの対話がありました。

  • 転換契約(TA)に関するグローバルな動向
  • OAハイブリッドジャーナルで出版するメリット
  • 研究者向けの出版ウェビナーやセッション

図書館員の方々に加え、全国のURAの皆様とお会いできたことは、大きな収穫でした。

 

Wileyのランチョンセミナー

2日目には、日本学術振興会 (JSPS) の大隅典子先生、およびWileyのインクルージョン&コミュニティ プログラムマネージャーであるリリー・オスカナイル (Lilly O'Scanaill) を迎え、1時間のランチョンセミナーを開催しました。モデレーターは、オープンリサーチAPACマネージャーのジョン・モリス (John Morris) が務めました。共有されたメッセージは、URAは研究力を高めるだけでなく、オープンアクセス、コミュニケーション支援、ネットワーク構築、機関の仕組みづくりを通じて、研究を必要とする人々に確実に届ける役割を担っている、というものです。

ここでは、主なポイントを3つご紹介します。

1)     即時OAとグローバルな協働が、研究のインパクトを高める

大隅先生は、即時OAはエンバーゴ後のOAよりも閲覧数、被引用数、Altmetricによる注目度を高めることを示唆するデータを紹介されました。日本のOA比率は、2023年に論文数の50%を超えました。また、転換契約がすべてを解決するわけではないことについても率直に語られました。価格は上昇を続けており、国の方針では、特定の助成金による論文について即時OAが求められるようになっています。APCが高額で負担が難しい場合には機関リポジトリが有効な手段となり、各大学がそれぞれに適した方法を選ぶ必要があります。最も鋭いデータは、協働に関するものでした。国内の著者のみによる論文では、被引用数が上位10%に入る論文の割合は4.5%ですが、2か国以上の海外共著者がいる場合には23%に上昇します。
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2)     コミュニケーションとブランドが可視性を高め、URAがその両方を支える

大隅先生は、インパクトファクターだけに頼ってはならないとも述べられました。社会的な関連性の高い研究成果も、日本語と英語で発信し、出版のタイミングに合わせて、古いニュースと見なされないようにすることが大切と伝えられました。そのためには、URAが論文の採択が近づいた段階で成果を把握できるよう、研究者との定期的なコミュニケーションが重要になります。また、論文、Altmetricスコア、SNSアカウントをひもづける研究者プロフィールページにも言及され、日本の聴衆にはLinkedInを推奨されました。ブランドについては、大学が機関レベルで、誰のために存在するのか、強みは何か、誰に届けたいのかを定義するよう促しました。主張には裏づけが必要であり、価値観は、学内すべての職員と学生が説明できるほどシンプルであるべきだといいます。.
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3)     次世代の研究者を支援する

リリーは、インクルージョン(包摂性)とエクイティ(公平性)を、研究と出版のライフサイクル全体に組み込む必要性を示しました。STM Japanでの発表 “InclusiveScholarly Publishing from the Perspective of a Researcher with VisualImpairment” (Erika Matsuda氏、筑波技術大学)を踏まえた事例として、視覚障害、ディスレクシア、自閉スペクトラム症のある研究者を取り上げ、アクセシブルな(誰もが利用しやすい)システムが、質の高い研究が出版されるうえでの障壁をいかに下げるかを紹介しました。具体的には、自由形式での投稿、言語ではなく内容の価値に重点を置いた査読、平易な言葉による要約や画像の説明文といったアクセシブルな形式です。
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ジョンは、日本の研究者に占める女性の割合は約19%で、2016年の15.3%からは上昇したものの、OECD平均の約半分にとどまっていると指摘しました。若手研究者にも、進化するオープンサイエンスの実践から研究成果の発信まで、固有の課題があります。信頼できるアドバイザーとして、URAは、研究費、キャリア開発、ウェルビーイングについて、研究者が最初に相談する相手となることが多くあります。女性研究者や若手研究者への支援は、付随的な取り組みではありません。研究エコシステムの将来の強さに向けた、極めて重要な投資です。

リリーが示した、URA向けの実践的な第一歩は次のとおりです。

·       自組織の多様性を評価する

·       ネットワークを活用して、多様な専門家を委員会や理事会に迎える

·       地域や国際的な関連団体をフォローし、知見を交換する
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今後の取り組みに向けて

このセッションでは、学術界の内側からの視点と、国際的な学術出版からの視点という二つの見方が重なり、どちらも同じ課題を指し示していました。私たちにとってそれは、日本各地の図書館長の皆様と築いてきたような関係を、URAの皆様とも築き、図書館とURAが並んで取り組む体制をつくることを意味します。
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私たちは、女性研究者や若手研究者を対象とした実践的なワークショップを検討しています。内容は、セルフプロモーション、SNSでの発信、キャリア開発、メンタリングなどです。また、Wileyでは、日本語・日本時間で開催するセッションを含め、APAC地域向けに無料のウェビナーやワークショップを提供しており、特定の対象者やテーマについてのご要望も歓迎しています。
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来年の年次大会は、2027年10月20日~21日に京都で開催されます。私たちもぜひ参加したいと考えています。
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WileyがAPAC地域で図書館やオープンリサーチをどのように支援しているか、詳しくお知りになりたい方は、弊社担当者までご連絡ください。お問い合わせは libraryapac@wiley.com まで。

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